
外国人技能実習制度と類似した制度でもある外国人研修制度というものがあることはご存知でしょうか?
文字通り、技能実習制度は実習によって技能を身につける制度に対して、研修制度は純粋な研修を目的とした制度となります。
これらの制度の成り立ちなどから、どのような部分が違うのかを考えて見ましょう。
外国人技能実習制度よりも歴史の古い外国人研修制度
外国人技能実習制度は、日本での技能実習期間を通して、身につけた技能を母国の発展に寄与するということが大きな目的としてあります。
この内容は日本での研修という意味合いでも捉えることが可能ではないでしょうか?
外国人技能実習制度は、もともとは外国人研修制度だったということが想像できると思います。
外国人研修制度による入国を行うと、研修という在留資格が与えられます。外国人技能実習制度の大本でもある外国人研修制度が始まったのが1981年です。
この時は、今のような農業や工場での仕事を学ぶというより、日本企業の海外支店で働く外国人が研修などの目的で来日する際に取られることが一般的でした。
外国人研修制度では賃金ではなく研修手当を支払う
外国人研修制度では、働くことができません。座学などによる研修のみが認められています。
研修期間中も技能実習生であれば、雇用関係にあり、毎月の賃金を支払わなければなりませんが、研修制度では研修手当を支払うことになります。
研修期間中ということで、日本での研修時の生活実費が手当として支払われます。
過去に、外国人技能実習制度が創設されていなかったころ、研修制度で来日できるのは研修生だけということになります。
研修手当は、最低賃金などの規制に係ることがありませんでしたので、日本での生活実費として法外に低額な研修手当を支給していた企業もあったとのことです。
こうした研修制度の穴を利用した低賃金労働が横行したために、外国人技能実習制度が創設されました。
在留資格「研修」で行えること
技能実習制度を利用した外国人の在留資格が技能実習となるのに対して、研修制度を利用した在留資格は研修となります。
現在、入管法の改正により、この研修の在留資格の取得できるのは、国や独立行政法人やJICAなどが主催する研修に参加するために来日する人に限定されています。
そうしたところの研修となれば、実務というよりは座学や実習による研修がメインとなります。
外国人研修制度は名実ともに研修のみで来日する外国人のための在留資格であるということが言えます。
そうした組織の研修であれば、極端に安い研修手当というような心配もありません。
農業などの研修を行う際に、実習という名目で作業を行うこともあるようですが、基本的には、就労はできません。
過去の在留資格が「研修」が「技能実習1号イ」に変更となった
過去に研修が技能実習の1年目に当たる技能実習1号イに適用されていた時代がありました。
しかし、研修であれば、労働契約も結ぶ必要もなく研修手当の金額も自由に決めることができます。
これが非常に大きな社会問題となり、技能実習1年目であっても雇用契約を結び、労働基準法で外国人技能実習生を守ろうという動きが加速しました。それまでの低賃金労働を是正する狙いがあります。
現在の研修の在留資格では就労者は存在せず、国などの研修を受けに来ている外国人のみに適用されるものになりました。
どういったものが研修になるの?
研修では農業協同組合や商工会議所などの推薦があれば企業での実習を行うことができます。
研修が目的ではあるのですが、座学では身に着けることができない実際の企業や農家での実習を通して研修を行うことも必要となるため、企業などへの研修生の派遣が認められています。
外国人技能実習生と比べると、厳しい受け入れ基準
外国人研修生は労働者ではないため、フルタイムで働くことを防止するために様々な基準を設けています。
研修生を一人受け入れるためには常勤社員が20人いる職場でなければなりません。
技能実習生であれば常勤社員30人以下であっても3人受け入れることが可能となるため、基準としては技能実習制度より厳しいことが分かります。
また、研修ということで来日しているため、研修を行う必要があります。企業に派遣された場合でも、3分の1の時間を非実務研修に充てなければなりません。
研修生が一人派遣されたとしても主力として働くのではなく、あくまでも研修として派遣されていることを忘れてはいけません。
外国人研修生の職種は技能実習制度と同一
外国人研修制度の派遣職種は現在規定されている外国人技能実習制度の職種と同等の内容となります。
こうした酷似した部分があるため、外国人技能実習制度と外国人研修制度が混同されやすい制度となっています。
内容的には研修も技能実習も同じように見えますが、研修の場合、受け入れ企業との雇用契約を結んでいないため、低賃金労働とならないよう守られた制度となっています。
外国人研修制度は企業が研修受け入れを行うことができる制度ではありますが、人数や労働時間に制限がありますのでご注意下さい。
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