
ホテルの清掃やベッドメイキングと言ったホテル内の様々な業務を行うのに、外国人の雇用を行うことは可能なのでしょうか?
訪日外国人の観光客が急増する現在、各地でホテル需要が高まっており、ホテルの建設ラッシュが起こっている地域もあります。
しかし、建設後のホテルの維持をするホテル清掃やベッドメイキングは低賃金、不人気職種となり、募集をかけても人が集まらない状況は変わりありません。
そんなホテル清掃、ベッドメイキングに外国人を雇用することができるのかを考えていきます。
外国人技能実習の対象職種にビルクリーニングが追加
外国人技能実習制度の適用職種に、平成26年からビルクリーニングも追加になりました。
ビルクリーニングは、ビルやホテルの清掃を行う技能実習になります。
ビル内の床面やガラス面などの清掃、屋上の清掃などが対象の業務となります。
清掃用カートの扱いなどが業務の一環となり、かなりの部分の清掃業務が技能実習で可能となっています。
また、ホテル清掃の一環であったベッドメイキングについては平成28年まではビルクリーニングの技能実習適用外だったのですが、ベッドメイキングによる業務も追加となり、より実務に即した技能実習の内容となっています。
ビルクリーニングは発展途上国でも必要な業務のため、許可が下りた
ビルは多くの国でも需要があり、そのビル空間を清潔に保つビルクリーニングは発展途上国でも需要があります。
母国へ帰っても、その技能実習の成果が出るものでなければ、実習の対象となることはありません。
例としては、福島の原発事故後の除染作業に土木の技能実習で派遣された外国人が行っていたことが大きな問題となりました。
これは放射能のリスクのある作業に外国人を当てるという事も問題となりましたが、厚生労働省が問題としたのが、技能実習として除染作業を行った後に母国に帰って除染作業ができるようなところが存在しないというものでした。
技能実習生の今後につながる可能性がない業務は、今後も技能実習の許可が下りることがないという事を示唆した内容でした。
ここから、発展途上国のホテルにもベッドメイキング作業があり、母国での需要に応えることができることから、早い段階でベッドメイキング作業が技能実習の項目として加わりました。
今後もこのような形で、技能実習が可能な業種が増えていくものと考えらえます。
ビルクリーニングで技能実習可能な期間は2年間
ビルクリーニングで外国人技能実習生が実習可能な期間は二年間となります。
これは他の業種とも同様となります。
他の業種と同様に、厚生労働省より登録を受けた監理団体より受け入れ企業へ実習生が派遣されます。
実習生をアルバイトとして雇用する場合も同様です。
介護業種のように日本語能力検定に合格するなど他の条件があるわけではなく、実習を受ける本人が二年間技能実習に従事することで成立します。
ビルクリーニングは業界の強い要望で技能実習が可能となった職種
他の業種でもそうですが、ビルクリーニングは特に業界団体の強い要望が叶う形で、外国人技能実習生の受け入れが可能となった職種です。
ビルクリーニングやホテルの清掃といった職業は低賃金での仕事が常態化しており、欠員が出て人を募集してもなかなか人が集まらないという現状があります。
また、オフィスビルの清掃は、日中に行うことは少なく、夜間での作業となり夜勤など体への負担も大きい業種でもあります。
そのため、せっかく人が入ってもすぐに辞めてしまい、また募集をかけるという人手不足の悪循環に陥りやすい業種です。
そのため、外国人技能実習が始まった当初から、受け入れを要望する動きが強かった業界でもあります。
こうした状況からも、外国人技能実習生を派遣するような形態のビル清掃、ホテル清掃、ベッドメイキングを請け負う派遣会社も出てきているようです。
実際に募集してもなかなか人が集まらないため、外国人技能実習生を雇用したい、しかし急な欠員に雇用するのは間に合わないという場合には、派遣による外国人技能実習生の活躍に、業界全体が期待を寄せています。
オフィスビル需要やホテル需要の陰に、ビルクリーニングの人手不足
外国人技能実習生が受け入れ可能となったからと言って、ビルクリーニング業界の人手が足りたということではありません。
オフィスビルの建設によりビル清掃の需要は伸び続けています。訪日外国人観光客の増加に伴い、各地でホテル建設の多いことからホテル清掃やベッドメイキングの需要も伸びています。
こうした一見ビルクリーニング業界にとってプラスとなるような外部環境であっても、決して労働環境が改善されるという事が今まではありませんでした。
ビルオーナーやホテル経営者がビル清掃を固定の経費として考えており、経費削減の考え方が長く根付いており、ビル清掃にお金をかけるという発想が少なかったと言えます。
ビル清掃やホテル清掃に置いて特別な資格などの技術を必要としないことから、賃金を上げるような口実が少なく、低賃金に落ち着いてしまっている業種とも言えます。
しかし、昨今の人口減少による人手不足により、低賃金で満足していた業界は、今の賃金では、コンビニなど他の業種に労働者を取られてしまうという事態になるようになってました。
こうなってしまうと、今まで人が集まらなかった職種にさらに人が来ないという状況となってしまっています。
ホテルの例を取ると、宿泊客の需要があるにも、ホテル清掃やベッドメイキングの業務を行う会社が見つからず、ホテルの営業を中止するような事態となっているところも出てきているようです。
それだけ清掃が身近にありながら、評価をされてこなかったというビルクリーニング業界の実情が、人手不足により、さらに窮地に追い込まれていると言えます。
清掃業務は外国人技能実習生が行いやすい業務
ホテルやビルの清掃は外国人技能実習生が行いやすい職種であると言えます。
移民を受け入れている欧米各国では、清掃は特別な技術を必要としないため、移民の人たちの収入源となっています。
また、アメリカではホテル清掃を行うとチップを払う文化があります。このため、日本のように時間給ではなく、清掃のクオリティや効率的に数をこなせば、自分の頑張りで収入を増やすということも可能であるため、移民の人たちも仕事に希望をもって行うことができます。
移民に対する日本政府の考え方は、否定的な立場を保ち続けていますが、外国人技能実習制度が適用となったことで、最も移民の働いている業種として知られているビル清掃、ホテル清掃業務に外国人が働くというのは、非常に世界から見てもごく普通の光景となります。
外国人技能実習制度のビル、ホテル清掃の適用は将来的な移民政策の可能性も?
外国人技能実習生の適用となったことで、世界でも移民政策の就労のもっとも代表的な業種でもあるビル、ホテル清掃、ベッドメイキングに技能実習制度が適用されたことは、移民制度の導入を考えているのではと感じます。
多くの業界や地方での人口減少による人手不足は深刻さを増し、必要最低限以外の部分に人手を割くことが困難な状況となることがこの先予想されます。
そうなった場合に清掃などの業種では、先行的に外国人技能実習制度を適用していれば、移民を受け入れなければならなくなった場合に就労に関しては業界も受け入れやすい環境が整っていると言えるのではと感じます。
これはあくまで予想の範囲を超えるものではなく、将来的にも移民制度に否定的な状況が続く可能性は十分にあります。
現在、多くの業界で外国人労働者を求める声が高くなってきています。
ビル清掃、ホテル、旅館清掃だけではなく、訪日外国人の対応で外国人労働者による力を借りたいと考えるホテル業界や民泊での清掃や宿泊施設までの案内役など外国人同士で日本の魅力を伝えていきたいと考えている日本人経営者も多くいます。
そうした労働力需要と現行の法律のミスマッチが大きくなってきているのではないでしょうか?
今まで移民受け入れを行わない方針を継続してきた日本政府ですが、今後の人口減少や労働力不足によって、どのような労働政策を取るのかに注目が集まっています。
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