
外国人技能実習制度は年々改正されており、技能実習可能な業種は増え続け、実習可能な年数も業種によって異なりますが、その実習期間は延びる傾向にあります。
近年の法改正を含めて、現在外国人技能実習生はどの程度の期間、日本で実習を行うことが出来るのかを報告します。
入管法の改正される時期と外国人技能実習制度の関連性
入管法の改正により、新たな在留資格である「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されることになります。
これは技能実習制度とどう関係があるかは後ほど説明しますが、「特定技能1号」で働くことが出来る業種はほぼ外国人技能実習制度と重複している形で定められています。
「特定技能2号」は、特定技能1号の在留資格を取得している人の中で、さらにキャリアアップができるポテンシャルを持っている人が一定の基準をクリアした場合に適用される在留資格となります。
外国人技能実習制度自体には変更はありませんが、技能実習生として来日した技能実習生が一定の基準をクリアした上で「特定技能1号、2号」に在留資格を変更するといったことも可能になります。
このため、今回の入管法の改正は、外国人技能実習制度と関連性があると言われてきました。
在留資格を変更するためには技能試験を受験する必要がありますが、各業種によって異なりますが、2020年の3月までには技能試験が開始される予定となっています。
その後、在留資格を変更した技能実習生が同じ業種で働くことが可能となるものです。
外国人技能実習制度を活用した場合の働ける年数
新しい在留資格ができても、日本で働く場合はまず外国人技能実習制度を利用して来日します。
ここでは、在留資格は年数によって技能実習1号から3号まで変化していきます。
それぞれの在留資格が上がる時に日本語能力などの試験があり、その試験に合格できなければ在留資格を更新することが出来ず、帰国しなければなりませんでした。
在留資格が技能実習3号まで日本にいた場合、5年間働くことが出来るようになります。
今までの技能実習制度では、制度上5年が最長となっており、それ以上は日本に滞在することができずに帰国することになっていました。
しかし、技能実習期間が満了したのちに技能試験を受けることで、技能実習生としてではなく、外国人労働者として正式に技能実習計画を監理団体などに提出しなくても働くことが出来るようになります。
技能実習3号から特定技能1号に在留資格を変更した場合、最長で5年働くことができます。
その間、同じ業種での労働となりますので、技能実習生からの期間を合計すると10年間日本で働くことが可能ということになります。
特定技能2号ではさらに期間が延びる
特定技能2号も技能実習制度で定められている業種と同じ業種で技能試験を受けることができるようになります。
特定技能2号は、特定技能1号の在留資格をさらに広めたもので、期限が基本的には定められておりません。
1号では認められていなかった家族の来日在留を許可されたりするなど、今まであった就労の在留資格に極めて近いものになります。
この場合、在留資格はほぼ永住権のような扱いとなりますので、外国人労働者が出稼ぎではなく、日本で住み続けることが可能となります。
これは、外国人技能実習制度の業種と同じ業種で定められた在留資格となるため、技能実習で来日した外国人労働者がそのまま日本に永住することも可能となったということができます。
特定技能1,2号では転職が認められている
技能実習生がよく働き、実習期間が終わった後も在留資格を取得して日本で働き続けてほしいと考えた場合に注意してほしい部分があります。
それは在留資格を特定技能にした場合、転職することが可能となることです。
技能実習で派遣された会社で、非人道的な扱いや労働条件が悪すぎるなどの理由で、技能実習生の時は我慢してきたけれども、在留資格を変更した途端に転職してしまうかもしれません。
国会や様々なメディアで外国人技能実習生の処遇が問題となったことで実習生にも会社選択の自由を与えるということを盛り込んだものということができます。
技能実習生であっても、正規の労働者として扱い、労働法に配慮する必要があります。現在、人手不足もあって労働条件の悪い職場からは人がいなくなっていく傾向にあります。
外国人技能実習生であっても貴重な労働力であることを押さえておきましょう。
外国人労働者から選ばれる企業になるために
技能実習制度を利用して働いてもらって、期間の延長も可能となった代わりに外国人労働者からも企業が評価されるようになったと言えます。今までのような劣悪な労働環境では期間が延びた腕のいい労働者でも他の会社に行ってしまうかもしれません。
これからこうした優秀な外国人労働者の争奪戦が業種内で起こるのではと考えます。
では、外国人技能実習生や特定技能在留資格を取得した外国人労働者から選ばれる企業となるためにはどのようにすればよいのでしょうか?
当たり前のことですが、労働法に即した労働条件を掲示し、実際に実行していることが必要条件となります。これは日本人に対してもなかなか行われていないこともあり、立場の弱い外国人労働者ではさらに深刻です。
さらには、外国人技能実習生や労働者の気持ちに配慮するといったことも重要です。
文化の違いを認め、外国人労働者からもその国の良さを教えてもらうような姿勢で見ることが外国人労働者との関係をよくするものとなります。
今までは日本では長時間労働が常態化し、長く働くことがよいことだという文かがありました。しかし、政府の働き方改革で残業未払いの規制を強化し労働時間の短縮を呼び掛けています。
これは中国などの国では、既に長時間労働などの問題が起こっていないということも注目することができます。
外国人技能実習生の母国では、どのような労務管理や働くことに対する感覚をしているのかを聞いてみるといったこともよいでしょう。
終業時間後に残っている人が少ないということは現在、政府で目指している労働環境となります。
それにはどのような部分を効率化すればよいのかといったことを検討する材料にもなります。
外国人人材を活用することで会社の労働環境もよくし、外国人労働者が長く働いてもらえる選ばれる企業となる必要があります。
せっかく在留期間が延長されても、転職されてしまっては元も子もありません。
外国人人材を活用する未来に向けて
在留資格の特定技能2号などは、在留期間が定められていないなど、これから外国人労働者の人口が年々増えていくものと予想できます。
その場合、外国人人材の活用法についても真剣に考える必要が出てきます。
働くことが出来る期間が延びたことで、外国人人材を管理職にして、他の外国人を管理させるといった手法の検討も必要となってきます。
私見ですが、これは今までこうしたことが認められなかった日本人優位の職場はやはり時代錯誤となっていくとも感じます。
今まで外国人人材の管理職登用など話題にすらあがることがありませんでした。
それだけ人手不足が深刻な状況となっていると考える反面、外国人労働者にとってはチャンスとなります。
所属する会社に貢献したのであれば、その報酬をきちんと外国人であっても要求でき、不満があれば転職もできるという日本人では当たり前だったことが外国人労働者にも時代が来ようとしています。
外国人技能実習生を活用している企業も、優秀な外国人人材を積極的に募集し、業績を上げていくことができる企業が生き残っていく時代がすぐそこまで来ています。
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