
外国人採用は、初めて行う場合には、日本人を雇用する場合と少し異なるため、戸惑う方もいらっしゃると思います。
多くの行政書士事務所などの法律事務所でも、外国人採用の手続きを一元的に請け負うようなプランもありますが、外国人採用を行う際の基礎知識としてビザ費用や必要な手続きを知っておくことで損になることはありません。
今回は、そんな外国人採用時に必要となるビザ費用や手続きについて考えてみましょう。
ビザ(査証)とは?
ビザという言葉をよく聞きますが、ビザとは何なのでしょうか?
日本から海外のある国に行き滞在を行うときに、長期間の滞在を必要とする場合ビザを申請し、外務省から発行してもらうという手続きを行います。
それと同じように、海外から日本に来る場合に、渡航者に犯罪歴などがなく、海外に行っても問題がないことを母国で審査し、母国を出国して、他国へ入国してもよいという証明証がビザ(査証)になります。
日本で働く場合に、入国管理局が就労可能かどうかを判断し、期限付きなどで就労可能な状態であることを証明する証明証が在留資格となります。
日本で働く場合には、この在留資格の方を見ることになります。
在留資格とビザは似ているものになりますが、ビザは、外国人が母国で発行するもので、在留資格は日本で発行するものという違いがあります。
ビザを取得するには
日本にいながら、外国人のビザを申請する場合、その国の日本領事館を通じて、ビザをその国の関係機関に申請することができます。
自分で直接領事館にコンタクトを取って申請することもできますが、海外の外国人が日本に来るためにビザ取得を代行しているエージェントは多くいますので、そことコンタクトを取る形が一般的です。
一般的にはパスポートなどは自分で取得していない場合など費用が高額となる場合もありますが、ビザ取得に関しては一万円前後というところが多いです。
また、ビザを申請し発行されるまでの期間は、その国の関係機関の対応状況などにもよりますので、余裕を持った申請を行うことが求められます。
エージェントによっては特急対応などのプランも準備されていますが、余裕をもった申請を行うに越したことはありません。
外国人を採用する場合の必要書類
無事に外国人のビザを取得できたら、次は日本の入国管理局に就労可能な在留資格の申請を行います。
就労可能な在留資格のことを就労ビザなどと言う場合もあることから、この二つが混同されがちですが、日本で働く場合には、出国する場合と入国する場合で二つ審査があると考えると分かりやすいです。
外国を雇用したいと考えた場合、まず会社として雇用を前提として、雇用する会社が準備する書類もあります。
在留資格の申請書を提出する場合、履歴書などの他に、なぜ外国人のその人を雇わなければならないのかと言った理由書を提出します。
この理由書は、外国人が単純労働の目的として来日することは原則として禁止しているため、来日する人物が高度な技術などの特殊な能力を持ち、日本でその能力を発揮して働いてもらうなどと言った理由が就労のために必要となります。
入国管理局へ出向いて自分で書いたり、集めた申請書類を提出して、審査を待つということも可能ですが、こちらについても多くのエージェントが代理に書類作成を受け付けていますので、不慣れな場合はこういったサービスを利用することも手段の一つとなります。
自分で書いて提出を行った場合、入国管理局の申請手数料が4千円ですが、申請書類の作成を代行してもらう場合は、そのエージェントの手数料などで10万円前後となる場合が多いでしょう。この価格はエージェントによっても異なりますので適切なエージェントを選ぶようにしましょう。
入国管理局で就労可能な在留資格は審査が厳しい?
入国管理局での就労可能な在留資格を取得するのは難しいと言われることがよくあります。確かに外国人が日本で働くことが珍しかった過去は本当に高度な技術を持った人や大学教授、芸術家や芸能人などといった特殊な人以外の就労可能な在留資格を取得することが難しいと言われた時代もありました。
しかし、日本も人口減少の時代に突入し、就労人口が減ってきている現在ではそんなことも言っていられないという台所事項もあり、申請に関しては普通の会社員などをする場合でも就労可能な在留資格は取得しやすくなりました。
しかしそれでも、母国の大学を卒業している等日本でもホワイトカラーの仕事に就く場合にのみ緩和されているだけであり、工場の生産ラインの労働などを行う場合、通常の就労可能な在留資格は取得できないことには変わりはありません。
単純労働を行うために来日し就労することを禁止している姿勢には変わりはありません。
そんな時のための外国人技能実習制度
工場の生産ラインや農業、建設業などでも人手不足は深刻です。通常の就労可能な在留資格とは別の扱いで外国人技能実習制度があります。
この場合、こうした来日に関する申請手続きなどは監理団体が行うため、外国人技能実習生を受け入れる企業は監理団体と協議を行い、申請書類を提出します。
海外とのやりとりを行ったことがないという方でも、監理団体のサポートにより円滑に外国人技能実習生を受け入れることができるでしょう。
こうした人材を探しているという経営者の方は、就労可能な在留資格を四苦八苦して申請するより、外国人技能実習生を受け入れるという方法もあります。
外国人を雇用する場合の共通届け出事項
外国人を雇用する場合に、共通の届け出事項が新たに追加されました。
外国人を雇用したいと考えた場合に、正社員として雇用する場合は、多くの場合は雇用保険に加入する形となります。
その場合、雇用保険の被保険者資格取得届をハローワークへ届け出ます。
これによって雇用保険に加入することになります。
アルバイトとして雇用するなどの場合でも、外国人雇用状況届け出書をハローワークへ提出します。
これは、現在、どんな在留資格の外国人がどのような企業で働いているのかを把握するのが目的です。
在留資格が切れた状態で働いていると不法就労となり、雇用主が罰せられますので、届け出を行い常に注意しておいた方がよいでしょう。
届け出を行うことで、注意を意識するという効果もあります。
外国人労働者の数が100万人を超えたというニュース
数年前に、日本で働く外国人労働者の数が100万人を超えたというニュースが流れました。
これは、日本の人口の約1%に当たる数字です。就労者の全人口は約6500万人となりますので、約2%に当たります。
これからも外国人労働者は増えていくと考えられますので、この数字はどんどんと比率が上がっていくものと考えられます。
今までは日本では日本人が働くというのが常識でしたが、石油資源が豊富な中東の国々では、インドなどの国から労働者を呼び寄せて働いてもらうということが日常化しています。
そこまでの状況にはならないにしても、これからの労働人口の減少により、外国人労働者の力に頼らなければならなくなる時代が確実に来るものと考えらえます。
その時のために、日本で働いてもらうために外国人に来てもらうにはどのような申請書類が必要でどれくらいの費用がかかるのかを日常的に考えておくと言ったことも必要になるでしょう。
これからもっと海外の国が身近になる?
海外の仕事に対してあまり身近に思っていない方にとって、英語もできないし海外なんてあまり関係ないと思っている人はいないでしょうか?
日本人を雇用する場合と比較してもビザ申請など難しい手続きが多い外国人雇用を敬遠したいと思っている人も、いざ外国人を雇用しなければならなくなってしまった時に右往左往してしまうという人もいるかもしれません。
しかし、外国であっても、住んでいる人は日本人と同じ人間が住んでいます。文化が違うといっても似たような食べ物や文化もあり、共通点も意外と多いのも事実です。
そうした外国人を雇うことになった場合、申請書類の意味を一つ一つ見てみれば、そこまで難しいものでもありません。
ビザ申請の意味、日本での就労するための書類の意味を考えて、手続きに向かいましょう。
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