
介護施設で働く介護福祉職は、国家資格でもある介護福祉士が必要でもあり、非常に過酷で高度な技能を必要とする職場です。
介護施設では、多くの人手を必要としていますが、なかなか働き手が集まらないというのが現状です。
今回は、介護福祉職の人手不足の原因と対策について考えていきたいと思います。
きつい介護の現場
介護施設など介護を行う職場は、慢性的な人手不足に陥っています。
常に人手が足りないという状況が続いています。過去にさかのぼっても、この人手不足が解消されていた時期はなく、常に人手不足で施設などの運営を行っている業界と言えます。
その一因として、過酷な労働環境というものがあります。
介護施設では、要介護などの老人を24時間面倒見ています。そのため、夜勤などがあるのは当たり前の環境となります。
また、ベッドを移動する時の重労働は多くの介護者を受け入れている施設であれば、体に堪える作業となります。
また、痴ほう症などの老人の介護を行う場合は、排せつがうまくできずに部屋の中にしてしまったり、暴言などを言われるということもあるようです。
このように介護職はとても過酷な仕事を強いられています。
きつい仕事内容に見合わない報酬
それだけきつい仕事であれば、高報酬が約束されてもいいと考えるのが当然です。しかし、介護業界は全産業の平均報酬額を大きく下回っています。
夜勤や重労働があるのになぜこのような状態となってしまっているのでしょうか?
介護施設の主な収入は、国などからの介護給付金になります。利用者も施設にお金を払いますが、それは一部であり、多くは介護保険の給付金により賄われています。
この介護給付金は、介護認定に応じて公定価格が決められています。例えば寝たきりの人が一人入居した場合、その人に支払われる利用料は施設の方で決めることができるわけではありません。
そのためある程度、見通しが立ちますが、施設による受け入れの上限も法律で定められているため、施設が満床となった場合、収入が頭打ちになります。
病院のように、保険外診療による収入アップを行うといったこともできません。
そのため、介護施設職員の賃金は上がりにくいという状況が生まれてしまうということになります。
また、介護保険の財源が乏しい関係から、公示価格は年々低下しているという状況が悪い状況に追い打ちをかけてしまっています。
専門的な仕事と見られていない?
医者や弁護士といった専門職の人たちは、高い報酬と引き換えに専門性の高い仕事を提供しています。報酬を上げるためには介護であれば介護福祉士でなければできないという専門的な仕事を行う必要があります。
しかし、実際には介護の現場の仕事はあまり専門的な仕事と見られていないというのが現状です。
もともとは介護施設が多く設立されたのは、昭和年代に入ってからであり、それまでは寝たきりの人の介護は家族が受け持つというのが常識となっていたからです。
介護の仕事は、未だに「家族の誰かができる仕事」と見られていると言っても過言ではありません。
そんな現状であれば、専門的な仕事という見方をされずに、低賃金での仕事となってしまいます。
実際には、介護を必要とする高齢者は増加の一途を辿り、家族も離れて暮らす人も多くなりました。要介護認定を受けた高齢者が、家族以外の人が介護をするという場合は、介護施設しかないという状況になります。
しかし、そういった現状でも、介護施設で働く人の報酬が低ければ介護の仕事をするという人が少なくなるのは必然です。
この状況については、政府や介護施設運営団体によって、現状を変えて報酬を上げるなどの措置が取られない限り解決しない問題と言えるでしょう。
そのしわ寄せが介護職員に来ている
介護業界の現状が長い間変わらない状態で来ていることが最早業界の常識となっています。
介護の仕事のみで生活をしようとすると非常に生活が厳しくなり、介護業界から離れたり、施設を転々とする職員などもいます。
一つの介護施設を辞めたとしても、業界全体が慢性的な人手不足のため、次の働く施設がすぐに見つかるという皮肉な状態です。
長く働ける人は、結婚しているパートの女性などとなってしまい、正社員が定着しないという状況になっています。
職員も夜勤や重労働などに見合った報酬がなく、絶望感に陥る可能性も多く、若い人が介護の仕事を目指す障害にもなっています。
介護職は、看護師に準じた仕事も行う専門的な仕事だという見方も
これだけ低報酬、重労働であったとしても、本当に専門的な仕事ではないのでしょうか?
類似した仕事に看護師がありますが、病院勤務で夜勤やベッドの移動や排せつの管理など介護福祉士と同じような仕事を行っております。夜中の呼び出しや老人ホームであれば容体が急変した場合の対応など、専門的な対応などを行わなければならない部分も看護師と酷似しています。
しかし、介護福祉士は介護施設で働き、看護師は病院で働くという違いで、報酬に違いが出ているといってもいいのではないでしょうか?
確かに病院で看護師が薬品の扱いなどもする分は報酬を多く見たとしても、夜勤に対する報酬などを考えると介護福祉士の報酬が低すぎると言えます。
この部分は業界全体で変えていかなければならない根の深い問題であると感じます。
介護の現場にも外国人技能実習生を派遣できます
現状の労働環境が変わらない限り、介護の人手不足が解消されるという見通しはつきにくいと言えます。
そんな時に現状の人手不足を解消する方法として、外国人技能実習生の活用というものもあります。
東南アジアや中国などからの技能実習生が介護施設で働くために日本に来ることが認められています。
介護施設で働くために派遣された技能実習生は、母国で日本語学校と看護学校などの専門教育を受けてから派遣されてきますので、他の業種の技能実習生とは少し異なります。
これは介護施設という場所では、夜間などの職員が少ない時間帯に対応を誤ると、入所者が死亡するといった重大な事故につながるためです。
日本語能力検定への合格を義務付け
介護職への技能実習には、他の業種とは異なる部分が多くあります。
その一つが、日本語能力検定の合格を義務付けているものです。介護施設では入所者と職員のコミュニケーションが欠かせません。そんな職種のため、外国人であっても日本語が堪能である必要があります。
介護にかかわる人から見ると、外国人技能実習生と言えば、農業や工場の生産ラインなど日本語が多少できなくてもできるような仕事をしているというイメージを持っている人もいるかと思いますが、介護に派遣される技能実習生は、人の命に関わる仕事をする関係から、多くの基準を設けています。
EPA(経済連携協定)による外国人介護福祉士の永住権の取得
日本はインドネシア、フィリピン、ベトナムとEPAを締結しています。その中で、介護現場に同国の介護職の受け入れを表明しています。
これは外国人技能実習制度とは異なり、特別扱いのようなものになります。
外国人技能実習制度であれば、業種によって異なりますが、在留期間が最長で五年となります。それ以上働くためには一度母国へ帰る必要があります。
EPAによる介護職受け入れの場合、介護施設で就労している3年間の間に介護福祉士試験に合格すれば、日本で介護福祉士として永住権を取得することができます。
これはEPAを締結しているインドネシア、フィリピン、ベトナムだけの特権となります。
介護施設で働き、介護福祉士を取得してもらえば、帰国の心配をすることがなくなります。
フィリピンのホスピタリティー精神あふれる介護職を
EPA締結国の中でも、フィリピンはキリスト教が主体の国です。
キリスト教の教えの中に、「人のために尽力すれば自分も救われる」というものがあります。
これは、人のために何かを行えば自分も神に救われるというものです。欧米では寄付やボランティア活動が盛んなのはこうしたところからと言われています。
フィリピンも同じキリスト教徒が多い国となります。そんなホスピタリティー精神が豊富で南国気質なフィリピン人は介護施設でも大きく活躍してくれるでしょう。
「介護の現場に外国人」は今後も増えていく
現状の介護業界の労働環境の改善という根本的な解決策は、一向に見えてきておりません。
しかし、高齢化社会による介護施設、介護業界の人手の需要は今後も増加し続けるでしょう。
そんなどうしようもない現状の穴埋めをするように外国人労働者の需要も増え続けていくと考えられます。介護施設も一部の職員以外は外国人という状況が出てくるのは時間の問題と言えます。
しかし、現状の状況が長く続くことがいいことではないということは言うまでもありません。
このままでは外国人技能実習生も敬遠する業界となってしまうことも十分考えられます。それには、介護業界をあげた労働環境、給料、手当の改善を進めていくという事が極めて重要であると言えるでしょう。
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