技能実習生でも異業種への転職が可能?? 新型コロナウイルスによる雇用情勢悪化の対策について解説

新型コロナウイルスによる雇用情勢の悪化は深刻さを増しています。

 

特に外出自粛による外食産業や観光業などへの影響がとても大きく、ホテルや飲食店で働く人はその影響により、失業してしまうといった事態に陥った人も少なくありません。

外国人技能実習生についても例外ではありません。

外国人技能実習生を受け入れている企業は、特に中小企業が多いため、新型コロナウイルスの影響をもろに受けてしまい、技能実習期間中であっても失業してしまうという実習生も多く存在しています。

今回は、そんな技能実習生の失業対策として、異業種への転職が可能かどうかということについて考えてみましょう。

 

新型コロナによる経済の悪化が技能実習生に直撃

新型コロナウイルスによる経済の悪化は、日本人にも大きな影響をもたらしました。

会社を解雇されるなどの雇用情勢の悪化は、日本人だけでなく日本に来ている外国人技能実習生もその例外ではありません。

むしろ、日本人よりも不利な立場に置かれている外国人技能実習生への影響の方が深刻です。

外国人技能実習生を受け入れている中小企業では、緊急事態宣言などによる経済の悪化をもろに受け、

製造業などでも工場の稼働停止に追い込まれたというような企業では、日本人であっても雇用しきれないという状況が発生しました。

その際に、技能実習を行っている技能実習生は、真っ先に解雇されてしまうというような事態に陥ります。

実習期間中の解雇は受け入れ企業の事業環境の悪化もありますが、やはり期間限定で働く技能実習生よりも、正社員である日本人の雇用を優先するという企業の体制が表れてきます。

 

転職の自由がなかった外国人技能実習生

このような状態に置かれても、今までは外国人技能実習生は監理団体による受け入れ企業の再検討という形で動くようになっていました。

解雇になっても、自ら主体的に就職先を探すという転職活動を行うことが技能実習生であってはできませんでした

しかし、コロナ禍において監理団体が登録する地域の受け入れ企業はどこも同じような状況で、同じ業種であっても簡単に受け入れ先が見つかるようなものでありません。

今までは、受け入れ企業の業績悪化であっても、技能実習生は監理団体の斡旋がなければ新たな受け入れ先を見つけることができませんでした。

つまり、技能実習生には転職の自由がなかったのです。

また、業績悪化や企業の不当な扱いなどの特別な理由がない限り、技能実習生は受け入れ企業を変えることができませんでした。

受け入れ企業の不当な扱いも、技能実習生の立場が弱いため、表に出ることが少なく、泣き寝入りの状態となることが現状です。

このため、現在の状況に失望し、技能実習生の失踪や自殺といったことが発生する原因にもなっていました。

 

コロナ禍による大量失業が状況を変えた

コロナ禍による経済の打撃は、日本人の働き方も大きく変えました。

リモートワークや時差出勤など、同じ時間、同じ場所に行って仕事をするという日本人の働き方の大前提を根底から覆しました。

その結果、満員電車に乗って通勤することが本当に必要だったのか? 家で出来る仕事は家でするという選択肢を持てるなど、新たな疑問や選択肢が増えています。

 

外国人技能実習制度においても、コロナ禍は大きく影響しました。

中小企業の業績が悪化し、日本人の雇用すらも維持が難しい状況で、外国人技能実習生のみが解雇されたという企業もあります。

解雇された外国人技能実習生は、母国から日本に来て、忙しい企業を手伝っているのですが、必要がなくなったからと言って簡単に解雇されては技能実習生の立場になれば、都合のいい話でしょう。

その一方で日本人では訴訟などのリスクがあるため簡単には解雇できないという意見がありますが、外国人技能実習生はそうではないというわけではありません。

同じ労働法で守られています。ただ、外国人技能実習生が訴訟まで行うほど日本語ができないなどの理由で、泣き寝入りをしているというだけにすぎません。

コロナ禍が来る前には、外国人技能実習生がいかに都合よくつかわれていたかということが浮き彫りになった言えます。

 

働いているのなら、日本人と同じ職業選択の自由を

 

外国人技能実習制度の根幹ともなるものは、技能実習です。

技能実習は原則として、技能を身に着けるための実習ですので、それ以外の業務に就くことは原則として禁止されています。

しかし、現状ではその規定は形骸化しており、製造業であれば様々な業務に日本人と同じように当たっているということが現状でもあります。

近年では特定技能の新設にあたり、外国人労働者が日本に多く来日するということが予想されますが、その矢先にコロナ禍が発生しました。

一気に経済が冷え込み、解雇される大量の技能実習生が同じ業種で仕事を探しても、そんなに簡単に見つかるというものではありません。

また、一方で国家間の移動が制限されてしまい、来日予定だった技能実習生が来ないという状況もありました。

当たり前ではありますが、技能実習制度はコロナ禍を想定して作られた制度ではありませんので、こうしたミスマッチが起こってしまうことは無理もありません。

今までの技能実習制度を続けていては、技能実習生に不利益ばかりが被ってしまい、日本に来たいという技能実習生がいなくなってしまうかもしれません。

コロナ禍による特例措置ということにはなりますが、解雇になった技能実習生と雇い入れたい受け入れ企業のマッチングを取る試みが今年四月から開始されています。

 

出入国在留管理局による求人事業者とのマッチング支援

 

入国管理局等を管轄する出入国在留管理局が、技能実習生が受け入れ企業から解雇された場合の相談窓口と就職支援を行っています。

これは、技能実習期間を満了してもコロナ禍により帰国ができない技能実習生や、留学している大学卒業と同時に日本で働く予定だったのに、内定取り消しなどで失業した人などと共通の相談窓口になります。

外国人雇用に関する総合相談窓口のような形のものになります。

ここでは解雇され、技能実習の継続が困難となった技能実習生の対応等も行っております。

外国人雇用の比率が数年前と比べても、格段に上がっている現在の日本では、外国人労働者の力がなくては経済が回らない状態となっています。

このため、外国人雇用に関する相談も受けられるように公共機関でも様々な支援を行っています。

 

解雇され、転職したい外国人技能実習生は在留資格の変更が必要

自分の意思ではなく、受け入れ企業の経営不振が原因で解雇された技能実習生は、転職を行うことが可能す。

具体的には、在留資格を技能実習から特定活動へ変更して、求人のマッチングする企業へ就職するという形になります。

形としては、技能実習を途中終了して特定活動に変更した上で、日本に滞在するという形になります。

技能実習法はコロナ禍でも法改正があったわけではありませんので、依然として転職や受け入れ企業の変更は原則としてできません。

しかし、不本意な失業をしてしまった技能実習生は特定活動に在留資格を変更して、他業種の仕事に就くことができるというものです。

特定活動は1年間の期限付きの在留資格となります。

新型コロナウイルスによる経済悪化の暫定措置ということができますが、事実上の技能実習生ばかりが不利益を被っていた技能実習法の改善ともいえるでしょう。

 

やはり技能実習法は、技能実習生を弱い立場に追い込んでいる??

技能実習の目的は国際貢献でありますが、実際には戦力として働いている技能実習生も多くいます。

しかし、通常の状態では大きな問題ではなかった受け入れ先の変更や転職など日本人には当たり前だった権利が技能実習生には認められていないという事実を知る必要があります。

それを踏まえたうえで、不当な扱いをされても日本人のように逃げることができない多くの技能実習生がいるという現実を受け止める必要があるでしょう。

もちろん、技能実習生を労働者として大切に扱う経営者の方がほとんどですが、悪い企業での不当な扱いがクローズアップされてしまい、技能実習生全体がそういった環境に置かれている、技能実習生を採用している企業はブラック企業だというレッテルが貼られることも外国人人材の活用の観点からは好ましくないと言えます。

 

コロナ禍による社会の変化は着実に進んでいる

コロナ禍で、日本社会の変化が肌で感じて起こっていることを実感している人も多いのではないかと思います。

定時に会社に行くという常識は、定時に行っても事務仕事しかしないのであればネットがあれば家でできるでしょう、という新常識で在宅勤務が普及しました。

これは今まで多くの人が疑問に感じていても、周りに流されて変えられなかった業務改善です。

技能実習も例外ではありません。

技能実習生が今まで疑問に感じていた転職ができない、どれだけ不当な扱いを受けても受け入れ企業を変えられないといった部分が、

相談窓口が増える等のことで明るみに出る可能性が出てきます。

外国人人材の活用は今大きく注目されています。

それは国際社会ともうまく連携して働く方も、雇用する方もメリットがある制度にしなければならないと考えます。

その一方で、技能実習生は産業の様々な分野で活躍しておりなくてはならない存在です。

今技能実習制度を悪いということで廃止してしまうと、多くの企業が操業できなくなってしまいます。

そうではれば、技能実習制度が少しでもよくなるように改善していく必要があると考えます。

新型コロナウイルスによる経済の打撃は深刻なものでありましたが、今まで疑問に感じていたが、何となく回っていたので良しとしてきた多くのことを抜本的に見直すチャンスともいえるでしょう。

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